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ムンク展

不安、依存、祈り、嫉妬、欺瞞、希望。

心理学的に彼の作品を解釈することはいくらでも可能でしょう。
彼の作品は、それ自体が、言葉で表せない告白であったと思います。

今回の展示が画期的な点は、ムンク氏の画業を装飾との関係でキュレーションしていることです。
すなわち、個々の作品としての展示ということではなく、連作として、ムンク氏が試行錯誤した空間演出(田中正之氏の言葉を借りれば"The Decorative Projects")を浮かび上がらせたことです。

技法的にはかなり大胆なことをしているように感じます。
絵画の表面の部分部分には、サラキャンのまま、残していたりします(ゼザンヌにも同じような特徴があります)。
このように地と図の関係がファジィであるのは絵画作品として立ち表れるイメージより先に、明確なヴィジョンがムンク氏の頭の中にあったから起こったことだと考えられます。


感情なるものがそのまま、気持ちいいほどに、画面から溢れてきます。

テンペラの作品を制作していたことは意外でしたし、
作品として未完成ながらも素材を飼いならそうとするプロセスが垣間見れて興味深かったです。

オセロ大学の講堂の壁画として展示している「太陽」には狂おしいまでの救心性を感じます。
習作の段階で、とても強烈です。

これが、ムンク氏の視た太陽であり、世界であり、宇宙だった、のでしょう。
観賞していると、めまいがします。
すさまじいエネルギーです。

ムンク氏が目の血管を悪くした後に制作した彩度の高い作品群もまた興味深かったです。

展示は、国立西洋美術館からの巡回展として兵庫県立博物館で開催されています。

| 兵庫の展覧会 | 18:59 | comments(0) | - |
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